「コンフィダント・絆」パルコ篇。
ネタバレしますので、読まれる方は注意してください。
「コンフィダント・絆」パルコ劇場 4月25日ソワレE列下手。26日マチネA列中央。
ほんっとに素晴らしい舞台でした。その日、かなり寝不足だったにも関わらず、頭が冴えてしまい、また眠れなかった位。
脚本、演出、キャスティング、役者の演技、どれを取っても良かったと思います。
以下ネタバレします。
あるきっかけで、4人の画家たちの危うい関係が崩れます。そもそも友情なんてなかったという3人と、純粋に友情を信じていたひとり。切ないです。でも、仕事を持っている男は意外とこんなもんかも知れないとも思う。
ゴッホ@生瀬勝久
この作品のなかでは、ただひとり、真の意味の天才。しかし、生活能力はまるでなく、いつも回りに迷惑をかけている。特に、ゴーギャンには甘えすぎ。「ちょっとポールぅ」このいい方が。振り幅が大きい役だと思うのですが、生瀬さん流石です。衣装が可愛くて、意外といっちゃなんだが、良く似合ってた。
画家の顔になった彼も、迫力でした。彼は誰よりも残酷。その分自分の才能にプライドを持っていたということでしょう。
ゴーギャン@寺脇康文
大変失礼なのだが、ファンとしては、余計なアドリブ入れるんじゃないだろうな、とか心配になる訳です。でも杞憂に終わりました。マラカスがあるからなのか?開演中、いちばん嬉しそうだったよ。しかしあの演出、凄い破壊力でした。
乱暴な様で優しい男として書かれてましたが、ありゃ女が惚れる。事前にお友達にそんな感想を聞いていたのですが、正にそのとおり。冷徹な男という劇評も読んだんですが、私は、情にもろい、優しい男の部分が勝っていた気がします。ゴッホやスーラの様に、爆発する訳ではないので、そういう意味では大人なんでしょうか。ただ、ゴッホに対する複雑な思いが良く現れていて、そこが良かったと思います。その後に起こる悲劇を知っているから、尚更。
寺脇さん、かっこ良かったです。どこまで足が長いんでしょう。
ルイーズ@堀内敬子
とにかく可愛かった。そして、歌は素晴らしかった。思ったことをばんばんいってしまったり、ゴーギャンを引きとめようとする女心が非常に理解出来た。
冒頭にやる、モデルのポーズ、お約束ながら面白かったです。
スーラ@中井貴一
舞台で拝見するのが初めてなのは、彼だけでした。彼も振り幅の大きい役で、終始理屈をこねているかと思いきや、コーヒーさえ淹れられないお坊ちゃんだったりして。コメディ中井、面白過ぎ。特に、3場の、ルイーズをちび太のところに行かせまいとする場面が最高でした。
5人の中で、彼がいちばんずるい気がします。優越感や、ゴッホの才能に対する嫉妬。ただ、私にも少なからずそういう面はあって、それだけに痛々しかったし、ゴッホのキャンバスを抱きしめて泣く場面がショックだった。私は終始ゴーギャン目線(時々ルイーズ)で観ていたのですが(寺脇ファンだし)、心情をいちばん理解出来るのが彼でした。私は、全く理系ではないけれども。
シュフネッケル@相島一之
最後に全部持っていった感のある彼。天才の中に、たったひとりいた、凡庸な画家。5場、彼に感情移入していた人は多かったと思います。
相島さんが、「Invitation」の対談のなかで、「4人で一緒にいるのが単純に好きだったんじゃないか」とおっしゃってましたが、そんな気がします。あんな風にプライドを捨てることは、他の3人には出来なかったと思う。
挿入されるピアノと、堀内さんの歌が良かったのですが、男4人のコーラスも絶妙でした。寺脇さんと相ちゃんの生歌しか聴いたことがなかったんですが、いやあ、集団って素晴らしいですな。ルイーズが笑顔を取り戻した後の、空気を抱きしめるゴーギャンがツボでした。
10万フランの絵を1枚だけ描く話、三谷さんらしいです。これといい、ドアノブといい、「なんで逃げた」といい、繰り返しが効果的で、どれもこれもツボでした。
4人の画家の絵がロビーに飾られていました。これをしっかり観てから舞台を観た方が楽しめるかも。私はある程度、画家たちについて調べて行ったのですが(ゴッホに関しては知っていたが)、知らなくても楽しめるだろうが、知っていた方がもっと判るし、笑えるだろうとも思います。
ちなみに、翌日立ち寄った、損保ジャパン東郷精児美術館(ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌの絵が常設されている)で、ゴーギャンの本を買った私。はまりすぎやっちゅうねん。
三谷さんは、シュフネッケルの様な、主役になれない人にスポットを当てる人ですね。彼の描いた夢のアトリエ、ゴッホの「黄色い家」も少し連想されます。
「12人の優しい日本人」も傑作だと思うのですが、この作品は、それの更に上を行っている気がします。大阪でまた観るのが楽しみです。
「光と影」という台詞がいちばん印象的でした。

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