05
July
2008

重松清「きみの友だち」

きみの友だち (新潮文庫 し 43-12)きみの友だち
この小説も、映画化されてます。予告編を見た限りでは、由香役の子の台詞回しがちょっとぶっきらぼう過ぎる様な。ちなみに、主人公の弟役で、森田直幸くん(「ちりとてちん」草々の少年時代を演じた男の子)も出てます。
重松作品は、「その日のまえに」で出会って以来(いうまでもなく、寺脇さんのおすすめだ)、ちょこちょこ読んでいるのですが、この作品が、私はいちばん好きかも、と思った。以下、何にも知りたくない人は読まないように。

連作短篇集ですが、主人公の恵美ちゃんに、語り手である「僕」が聞いた話を、それぞれの主人公に語りかける方式です。「僕」の語り口はあくまで優しく、ちょっと気恥ずかしくなるようなところもありますけれど、その内容は、結構シビアです。まず、小学生だった恵美ちゃんが、事故に遭って、足が不自由になり、それを同級生のせいにしたことで、周りから嫌われてしまう話から始まります。それがきっかけで、病弱の由香と仲良くなるのですが。恵美のクラスメイトの堀田ちゃん、ハナ、転校生の西村さん、恵美の弟のブンと、その同級生のモト、三好くん、そして、彼らの先輩の佐藤と、主役を入れ替え、時系列もばらばらですが、「僕」が、「きみ」に語りかけるのは同じ。それぞれのテーマは、「友だち」ですね。皆、何かしらの悩みを抱えてる。
恵美は、クラスメイトたちにとっては、いつも、由香と教室の片隅にいる、愛想のない女の子という位置づけですが、ちょっとずつ、恵美と交わり、何かのきっかけをつかみます。この恵美が、かっこいいんですね。「僕」のフィルターのせいだと解釈することもできますけど。

カメレオンだといわれてしまう堀田ちゃん。何をやっても勝てない後輩に先輩風を吹かせてしまう佐藤。絶対友だちになりたくないタイプのふたりだけど、いるいるこんなやつ。そして、冷静にわが身を振り返ると、私も佐藤みたいなところがあるよ!!うおおおお、恐ろしい。ちなみに、どこの輪にも首を突っ込む堀田ちゃん(クラスの人物相関図まで書いている!)みたいな子は、昔から苦手でした。でも、そう思えるのは私が大人になったからかも知れません。

恵美も皆に嫌われた頃は悩むのですが、ぐんと大人です。そして、由香ちゃんは、ふわふわした感じで、優しい。こんな子たちの方が少ないのでしょう。

ラストのひとつ手前の「花いちもんめ」で、恵美と由香の別れが書かれます。由香の両親とのやりとりにはかなりぐっときた。親の目線も感じました。そして、出来すぎ感はあるかも知れないが、これまでの話の主役たちが、由香のことを気にかけるんですね。存在感のないクラスメイトでも、気にしている人間はいる。当たり前のことですが、救いでした。

ラストの一篇、「きみの友だち」は、後日譚的内容ですが、とても好きです。最後の最後まで、恵美を登場させない書き方もとても良いし。
3年前の「ブランチ」のBOOK大賞(なんだか良く判らん賞ですが)は、重松さんの「その日のまえに」でした。その時、「きみの友だち」の話も少しされていた記憶があります。曰く、「自分の子どもが女の子ふたりだから、こういう話になったが、男の子だったら、また別の話になってたかもしれない」。なるほどな~。女の子の心理をほんっとに良く判っていて、私はもう、驚きの連続でございました。
全然関係ないが、前にここで紹介した「オヤジの細道」と同じ作者でございます。こういうおばかなエッセイも面白いです。

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